ニュース一覧 ブログ

更新日:2026.02.05

工作しながら「算数の頭」が育つ、探究の時間【工場長|おしごと算数】

こんにちは!講師の阿部です。

1-2月、エイスクールの【おしごと算数】に通う子どもたちは「工場長」のプログラムに挑戦しています。本日は授業の様子をお届けします!

0. 「工場長」ってどんなプログラム?

品質の高い製品を、スケジュールを守って、効率よく生産できるように管理する「生産管理」の仕事。それが「工場長」

「どのような手順や方法で進めると、より早く製造できるだろうか?」と時間効率を数字の観点から考えたり、「どうすれば素材を最大限生かすことができるだろうか?」と材料効率を図形の観点から考えたり、算数を総合的に活用するチカラが求められます。

さらに、工場の生産管理だけでなく、あらゆる仕事の進め方、料理や収納など家事の進め方にも直結するチカラであるのがポイント。頭と身体の両方を使うさまざまな工場製造ミッションに挑戦しながら、仕事にも暮らしにもいきる効率化思考を磨くプログラムです。

1. 「10分の工場稼働」で、教室の空気が変わる

授業が始まると、机の上には折り紙、ハサミ、糊、セロハンテープ。一見すると「工作の時間」に見えるかもしれません。でも、おしごと算数の「工場長」では、工作は“目的“ではなく、算数を使って考えるための仕掛けです。
工場長たち(子どもたち)に与えられるミッションは、こうです。

工場稼働10分間で、指定された製品を指定の数分だけ作ること。
ただし、製品を完成させるには複数の工程があり、工程ごとに担当者が分かれています。

「10分間だけ工場を動かして、製品をつくってね」
これだけ聞くと簡単なんですけど、ルールが細かい。

担当①:工程A(ケースを折る)→工程C(飾りつけ)
担当②:工程B(模様パーツをくり抜く)→工程C(飾りつけ)

担当者はもちろん自分の担当の作業しかできない。そして、自分の持ち時間以外は作業ができない
つまり、担当工程の作業中、他の工程担当者は“見守るだけ“。さらに、決めた時間になったら、途中でも強制終了(もうその工程はできない)。

  • ある工程にリソースをたくさん割いてもダメ(時間のムダが出る)
  • 逆に割かなすぎてもダメ(部品不足で止まる)

…これ、大人の工場でも同じですね。

で、子どもたちももちろんすぐ気づきました。
「これ、時間配分めっちゃ大事じゃね」って。

2.  A君が勝手に難易度上げていく

火曜クラスのA君(6年生)はエイスクールに6年も通っているベテランです。
本来、チームで作る数は「チームの人数分」。この日はA君とY君しかいなかったので「10分で2個」作ればOKのミッション。

でもA君がいきなり言い出すんです。
「(手を叩いて)6個やりましょう!」

これには思わず、隣にいたY君(5年生)も「流石にそれは…笑」と言っていたのですが、
A君はすかさず「いや、いけるっしょ。前回のミッション簡単すぎたからちょっと難しくしないとね!」と。笑

Y君もそれを聞いて鼓舞されたのか、「よし、じゃあ6個やろう!」
想定の3倍の量を急遽作ることになりましたが、1回目、なんと4分も残して6個達成!

で、普通だったらそこで「よかったー!」ってなるんですが、二人はそうはなりません。

A君:1個ミスった。見本と違う
B君:なんかもっと行けたよね
A君:うん、平均1個1分ってことでしょ。10個いけるじゃん

彼らはすでに2回目のチャレンジを見越して対話を始めます。
それを見守っていたら、

A君:あべちゃん、ちょっと折り紙2枚くれない?
阿部:あぁ、1個折るのにかかる時間計測するの?
A君:そうそう。あと、どっちが作るの早いか確認して、作業担当取り替えるか考える
阿部:いいじゃん、じゃあおれストップウォッチやるわ

とにかく、主体的。

結果、A君の方が早くて50秒。そこで2回目の目標を11個に定めました。
11個を達成するために2人はさらに議論を重ねます。

A君:Yさ、さっき模様切り抜くの時間余ったでしょ。数は合計33個だけど変わらず1分でいけるでしょ?
B君:いや、流石に1分はきつい笑。余った時間は模様を順番に並べたりするから!無駄にしないから!
A君:え〜。まぁいいよ。じゃあ2分ね。飾り付けはYがさっき全部やってくれたからおれは工程Aに時間ほぼ使っていいよね?
B君:いいんじゃない?
A君:じゃあ、おれは工程Aに9分で、工程Cに1分ね。Yは工程Bに2分で、工程Cに8分ね。
A君:あとさ、早く模様をスタンプでくり抜くためにさ、紙重ねた方がいいんじゃない?
B君:いや、意外に紙重ねるとスタンプ押しづらくてさ、逆にここはそのまま折らずに連続で押してった方が結果的に早い

算数で扱う「時間」「単位あたり」「見積もり」「最適化(どこに時間をかけるか)」「改善(PDCA)」
がリアルな文脈で立ち上がります。

そして、2回目…!
結果はなんと、、、

最終的に12個作っちゃいました。
540秒で12個なので、これは1個45秒ペース。
練習より本番の方が速いって何笑。本人に聞いたら「なんか、どんどん加速した笑」とのことでした。

3. たったの10分で進化する

カードケースには模様を貼る工程Cがあります。

最初、Y君は
「素材をケースに乗せて、セロテープで貼る」
ってやってたんですけど、途中でボソッと「こっちの方が早いんじゃね?」
と言って、やり方を変えました。

新しい方法は、
「素材にセロテープを貼った状態をセットで準備しておいて、剥がしてまとめて貼る」
というもの。こういう瞬間が、僕はめちゃ好きで。授業で教えたわけじゃないんです。自分で見つけて、自分で変えてる。しかも結果がちゃんと出て、スピードも上がる。本人もちょっと嬉しそうでした。A君も思わず拍手してました。

4. 工場長で育ってるのは、「計算力」じゃなくて「考える力」かもしれない

工場長の授業って、算数の問題を解いてるわけじゃありません。
でも、

  • 何分必要かを見積もる
  • 余ったらムダだと気づく
  • 手順もしくはやり方を変える
  • 工場全体が止まらないようチームで最適化する

こういうのって、完全に算数なんですよね。そして何より、子どもたちが楽しそうなんです。

「あと何個いける?」とか「それ、速すぎだろ」みたいな会話がずっと飛び交ってる。
たぶん、保護者のみなさんが想像する“算数の授業“とは全然違います。

でも、こういう授業で身につく算数の感覚って、ずっと使える(残る)武器になると思います。

2/22(日)・3/22(日)特別授業体験開催!