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  • 2019.04.15

「未来の教室」探究 ✕ 公教育 〜校長いわたく探究日記〜

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a.school 校長 岩田拓真(いわたく)による探究日記。本日は、先月最終報告会が終わったばかりの、経産省「未来の教室」実証事業に関してお話します。


a.schoolは今回、2018年度経産省「未来の教室」実証事業への参画にあたって、『探究学習を日本全国で推進・普及するには?』という問いに挑戦することにしました。青森から福岡まで様々な教育関係者・事業者の方にヒアリングを行い、a.schoolの探究学習プログラム「なりきりラボ」「おしごと算数」を用いた探究学習導入実証も行いました。

主に、民間との連携を通じて「公教育(小学校)」の中で探究学習をいかに推進するか?、ということと、「探究学習の民間市場」そのものをいかに成長させていくか?、ということの2点が論点でしたが、本日は前者(公教育)についてお話したいと思います。

公教育で探究学習を推進していくために・・・

結論からお伝えすると、
① 探究型教員の育成(主にマインド・スキル面)
② 学校現場の業務改善、教員の余裕づくり
③ 学校現場で使える探究学習の教材・補助教材の制作
④ 首長・教育長・校長のリーダーシップ、探究する文化作り
⑤ 民間企業との連携を促進するマネタイズ手段の構築
の5点が大事だという結論に至りました。今回は、①〜③についてお話します。

① 探究型教員の育成

何と言っても、最終的に子どもたちと対面し、彼ら・彼女らの学びをサポートするのは、現場の先生がたです。探究心に火をつけ、自立的に学ぶ力を育成する姿勢とスキルを持ったプロの先生が現場にいるかどうかは、保護者の方や子どもたち本人からすると一番大事に違いありません。

とするならば当然「探究型の先生を育てることは可能か?(才能だけではないか?)」という問いが出てきますが・・・

私の答えはYESです。

先生自身の探究的なマインドも、夢中に探究するように促すファシリテーションの技術も、熱狂させるプレゼンテーションの技術も、全て後天的に習得することができると考えています。もちろん得意不得意はあるでしょうが、努力で何とかなる部分は大きいと思います。(ちなみに、探究型の先生になるために最も必要なことについては、こちらの過去記事をご覧ください)

a.schoolでは現在ファシリテーター(メイン講師)やメンターの育成方法を開発して整えている最中で、実際に様々な取り組みや仕組みが効果を発揮していますし、その一部を公立小学校の先生がた向けに1年間の研修として実施したところ、高評価をいただきました。以下は、その研修を受けた先生の声です。

岩田さんの「探究学習」の研修は、とてもためになりました。それまでは、正直ただ教科書通りに教えていただけでしたが、「子どもたちの興味関心」をベースに授業を設計するという考え方を聞いて、はっとさせられました。日々どこまで実践できているかというとまだ自信はないですが、自分の意識や姿勢は変わったと思っています。

a.schoolでは今後それらのノウハウをまとめ、大人向け探究講座をスタートしたいと思っていますし、今後こういったプログラムは増えていくでしょう。既にあるものとしては、炭谷俊樹さん率いるラーンネットの「探究ナビゲータ講座」がとても内容が充実しているのでオススメです。

ちなみに、探究型の先生といっても、探究ティーチャーや探究ファシリテーターなど様々なタイプはあるのですが、そのタイプ分けについてはまた別の記事でじっくり書きたいと思います。

② 学校の業務改善と先生の余裕づくり

2つめは、学校の業務改善です。先日Boston Consulting Groupが発表した「Edtechを活用した学校現場の業務改善等検討資料」でも述べられていましたが、教員の業務範囲が多岐にわたっており、業務負担が非常に大きいということはデータでわかっています。今回私たちが先生がたに行ったヒアリングのなかでも、それを如実に表すコメントが多数出てきました。

子どもたちの探究心に火をつける授業づくりをしたいと思っても、正直仕事が忙しくて、なかなか授業づくりに時間をかけられていないのが現状です。子どもたちに悪いと思いながら、学校の運営や行政の仕事、学年の仕事、を優先しがちな自分がいます。

社会の授業で「道具の歴史」を探究する2ヶ月間の授業を作り、子どもたちも熱心に学んでくれましたが、設計するのに相当時間がかかりました。これをどの授業でもやろう、と思っても時間的に不可能です。結局教科書通りにただ進める授業が大半になってしまいます。

私も授業を設計する立場なのでよくわかるのですが、探究的な授業をつくるには、膨大な時間がかかります。教科書通り教えるのとはわけが違うのです。そして、時間的・精神的な余裕があると、「なんでこうなるんだろう?」「こう工夫したら面白いかな?」などと創意工夫に意識が向きやすくなります。

①の教員育成については、仕組みだけでなく先生個人の努力が非常に大切になってきますが、②の業務負荷から来る余裕の無さに関しては、ほぼ仕組みの問題でしょう。「あの人は面白い授業をするいい先生だけれど、この先生は・・・」と個人を責めても何も変わりません。BCGの検討資料でも述べられているように、学校としてのあるべき姿を関係者で対話して描いていく、ITを活用して業務プロセスを抜本的に改革する、政府も巻き込んで法制度や手続きの柔軟化・効率化を進めることが必要になります。

③ 探究学習の教材づくり

3つめは、学校現場で使うことのできる「探究学習の教材・補助教材」を作る必要性です。①の探究型教員の育成は重要ですが、それだけに頼るのではなく、様々な先生が活用できる探究型のプログラム・教材(つまり、先生にとっての道具)を整えるということです。

実際に、オランダなどの国では、子どもたちと対峙する専門家としての教員とプログラム開発の専門家が分かれており、授業開発のプロセスをある程度分業して効率化しているようです。開発負荷が非常に高い探究型の授業こそ、先生一人ひとりの創意工夫だけでなく、教材面からのアプローチが重要だと考えています。

実際に、現場の先生からも、

探究型の授業をしようと思っても、参考になる情報を集めるのにとても苦労する。既存の指導書は、教科書に載っている知識をわかりやすく教えるためには参考になるが、正直面白くはないし、子どもたちをワクワクさせるヒントは全然載っていない。

探究学習に特化した「副読本」のニーズは多いにあると思う。既存の指導書と同様、「学習の目的」「評価基準」などが含まれていると、現場でも使いやすいと思う。

といった声が多数上がりました。誰もが使いやすく、かつ熱量を失わない探究型の教材づくりは非常にチャレンジングですが、副読本(ヒント集)というアプローチは確かに有効かもしれないと思いました。

以上、今回のプロジェクトの一部分を公開させてただきました。今後、学校現場でよりよい『探究』の学びを広めていくために、a.schoolとしても様々な形で貢献していきたいと思っています。

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