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  • 2017.01.20

【面白数学】03-新百合ヶ丘の実験少年

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a.school研究開発スタッフ 星功基による、【面白数学】コラム第三弾。

日常の中に潜む「面白い数学」を発見して、シンプルに紐解く連載です。a.schoolのプログラム設計でも大切にしている「数学と日常の繋がり」を皆さんも一緒に探究していきましょう!

今回は「実験少年」からの気づきについて。大人になると『当たり前』のことが多くなり、日常のちょっとしたことに疑問を持つことも少なくなります。仕事に、子育てに、地域活動に・・・毎日が忙しいから考える暇がないということもあるでしょう。

子どもの「なぜ?」という問いや、彼のような「実験」行動は、純粋な「どうなっているんだろう?」という気持ちから生まれるものですが、もしかしたら大人への「ちょっと見方を変えてみたら?」というメッセージなのかもしれません。

アフォーダンスや次元の概念は少し難しいですが、「この実験少年は一体何をしているんだろう?」と、星さんと一緒に観察している気持ちになって読んでみると楽しいです。あなたの町にも、もしかしたらご家庭にも、こんな実験少年いませんか?

(a.school代表 岩田拓真)

小田急線の新百合ヶ丘駅でのこと。

先日の15時ころ。

会社を出て、打ち合わせのため、電車を乗り換えるときだった。

階段を上がり、ホームを変えようとコンコースを歩いていたとき、人の流れのない改札機の前に、不自然にごそごそしている小4くらいの男の子がいた。

ピン!と面白そうなだなというアンテナがたち、乗り換えの電車までは、あと3、4分あったため、遠くから見守ることにした。

男の子は、ランドセルに伸びる素材でつながっている定期券、おそらくパスモと思われるものを、そうっとそうっと、改札機のタッチするところに近づけていた。

なるほど、どこで検知されるかを実験しているんだな。

ほどなくするとピッと検知されて、男の子は改札機の向こう側に渡っていった。 向こう側でまた実験している。

今度は迷いなくある高さまで持っていってから、少し下げて、またこちら側に渡ってきた。

どの高さで検知されるかはある程度こちら側でわかったので、向こう側ではその高さが同じかを確認しているようだった。

実験は終わりかと思いきや、まだ続いた。

こちら側に戻ってきた少年は、また定期券を検知器に近づけだした。

すると、次の瞬間、事件が起きた。

近づけている定期券を斜めにスライドさせ、検知器の上空から少し外したのだ。

その動作によって、ハッとした。

と同時に、あるイメージが浮かんだ。

球体だ。

そして、自分がいかに、日常の動作をアフォードされていて、次元を固定化していたかを悟った。

ややっこしいが、こういうことだ。

検知器は真横から見ると、このような形状をしている。

この検知器に対して、少年は定期券を上から近づけ、どこで検知されるかを実験した。仮にその検知ポイントを赤い点だとする。

改札機の向こう側では、この検知ポイントが向こう側でも同じかを確かめていた。

こちら側に戻ってきて、少年が定期券を斜めにスライドさせて実験していたのは、検知器の上空でなくても、まわりの空間の中で、検知されるポイントがあるのではないかという仮説検証だったのだ。

検知の境界膜のようなものがあって、そこより中に入れると検知されるという仮説だ。

その仮説を頭の中で描くと、こういうことになる。

ハッとした。

普段自分は、改札機の検知器の形状から、「高さを近づける」という次元でしかとらえていなかった。

1次元だ。

形状などからある動作を自然に促す考え方を「アフォーダンス」という。 まさ

自分は、あの検知器の形状に、1次元の中で高さを近づけるようアフォードをされていたわけだ。

しかし、少年がスライドさせた瞬間にとらえていた次元は、3次元だ。

検知のポイントは四方八方に広がっているのではないかという「見方」だ。

その見方は、アフォーダンスから自由になっていた。

次元を変えてみる。

今行っている動作は、線なのか、面なのか、空間なのか。

今考えていることは、1次元なのか、2次元なのか、3次元なのか。

そして、それは、次元の可能性を狭めていないか。

次元を変えると新しい見方ができるのではないか。

そのように強く気づかせてくれる自分にとっては事件ともいうべき出来事だった。

ふっと少年をみると、まだ実験中だった。慎重に慎重に定期券を検知器に近づけていた。

駅員さんに怒られないといいな。そう思い、改札の駅員さんがいつもいるところを見ると、人影はなかった。安心した。

コンコースの表示機を見た。乗り換えの電車がもうすぐ到着する。小走りで次のホームへ向かった。

実験の続きが見たいと、後ろ髪をひかれながら。

〈執筆〉星功基
a.school研究開発スタッフとして、算数や探究ラボの授業設計サポートをしている。また、文字とことばのデザインユニット「二歩」としても活動中。大学時代に所属していた佐藤雅彦研究室で学んだ「考え方を考える」ことを大切に、夢中になる教育と表現をつくりたいと思っている。
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