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イベントレポート

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  • 2016.11.04

【開催レポート】a.talk vol.2 子どもの凸凹を活かして異才を育てるには?〜異才発掘プロジェクト「ROCKET」の取り組み〜

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こんにちは。
9/27(火)、第2回a.talkを実施しました!

a.talkとは?

a.talk(エイトーク)とは、a.schoolが新たに実施するイベントで、毎回、最先端・ユニークな教育経験を持つゲストをお招きし、これからの学びのあり方や、子ども達の進む道・暮らす社会について、オトナ同士で対話し、カジュアルに探究を深めていく場です。

第2回のゲストは、日本財団・異才発掘プロジェクト「ROCKET」でプロジェクトマネージャーを務める沢渡一登さん。

東京大学と日本財団が合同で行う、異才を持つ小・中学生に向けた新しい学びの場「ROCKET」。
今回のa.talkでは、この「ROCKET」プロジェクトを企画・運営されている貴重なご経験を共有頂き、これからの時代を生きて行く子ども達が、ユニークな才能をそのままに伸ばしていくには何が必要か、参加者の皆さんで考えることが出来る場となりました!

異才発掘プロジェクト ROCKETって一体?

「ユニークな子ども達をつぶさないこと。」
これこそがROCKETの最大の機能であり役割であるとお話される沢渡さん。

「子ども達の学力をある一定期間に一定のレベルまで引き上げる」という観点では、世界的に見ても強みのある日本の教育。 しかし、日本型の教育に適応出来ないことから、サポートを必要とする「型にはまらない才能」を持つ子ども達が、つぶされずに成長していく為の場がROCKETであると沢渡さんは語ります。

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ROCKETプロジェクトは、異才の「芽」を持つ子ども達を支援する為に、学校でも家でもない第3の居場所として、東京大学先端研究所と日本財団の連携のもと、2014年12月にスタート。
東京大学先端研究所1号館をリノベーションした場所を学び舎として、「未来のエジソンやアインシュタイン」となる小学校3年生から中学校3年生を対象として、1期生・2期生合わせて28名で学んでいます。 (毎期、550~600名程度の応募が全国から寄せられるとのこと!)

ROCKETが目指すのは、ユニークな子どもが、ユニークなまま大人になり、「好きを突き詰めてシゴトにしていくこと」。

ROCKETは、ユニークな子どもが、ユニークなまま大人になることを目指す場であり、凸凹を治しません。 ともすれば、マイナスや出来ないことを補填することに注力しがちな公教育に対して、ROCKETでは、凸を伸ばしていき、1人ひとりのユニークさを活かしていきます。

沢渡さんは、ROCKETという場のスタンスを、「凸凹を活かすのではなく治そうとすると、アプローチが治療的になってしまう。無理に治さず、学びを強制しないということを大切にしています。」とお話されていました。

「強制する」「教える」ことは、子どもの考え方を枠にはめてしまうリスクがあるため、教えるのではなく、「好き」「やりたい」ことに自分で取り組むのがROCKETのスタンスです。
(「苦手なことはどう補うの?」という声が聞こえてきそうですが、ROCKETでは、子ども達の苦手をテクノロジーで補います。 時間のマネジメントが苦手な子はカレンダーのアラーム機能を使い、読み書きが苦手な子はスマートフォンの音声読み上げ機能を使う等、最新テクノロジーの力で苦手を補い、本質的な学びに時間を使うことを大切しています。)

ROCKETに集まる子ども達の将来のイメージとしては、多くの人が望む生き方には嵌るのではなく、好きなことを突き詰めていって仕事にすること。

そのために、ROCKETでは、「テクノロジー」「コミュニケーション」「プレゼンテーション」「科学的思考」「美的センス」「ビジネス」の6つの能力を大切にしています。具体的には、全国に散らばるスカラー(ROCKETで学ぶ異才達)が月に1~2回集まり、トップランナー講義やPBL(プロジェクト型学習)を行います。

トップランナー講義では、各分野で活躍しているプロフェッショナルが登壇。
陸上競技の為末さん、スカイツリーを作ったとび職の方、ロボットクリエイターの方など、好きなことを実践し、仕事にしている人が、ROCKETスカラーに生き様を伝えていきます。 お招きしたロボットクリエイターの方は、ずっと1人でロボットを全て組み立て続けていますが、「誰かに頼むと妥協が生まれる。妥協したくないから自分でやる。」と、仕事への熱いこだわりを伝えていき、子ども達はそれぞれに感じ入ることがあるようです。

「イカを解剖!」「ボウリングのピンの専門家!?」どんな異才が、どんな風に学んでいるのか?

ROCKETでのプロジェクト型学習(Project Based Learning)は、全て本物志向。
例えば、「イカを解剖し、最後は調理して食べよう!」というテーマでPBLを実施した際、はじめ、子ども達は「作り方は?」「マニュアルはないの?」と聞いてきたそう。

異才の芽が集うROCKETの子ども達でも、まずマニュアルから入るスタイルが、考え方に刷り込まれている模様。
マニュアル中心の考え方から自由になっていく為に、ROCKETでは、とことん、ノウハウやマニュアルを伝えない中で調理します。1人が恐る恐るイカを切り始めると、周りもチャレンジしはじめます。

教科書がないので、やり方や考え方は、10人いたら10通り。
ROCKETでは、子ども達自身が納得のいくものを、正解がない中で作っていきます。 そして、満足・納得するものをゼロからつくるアクティビティの中に、教科学習につながるヒントが織り込まれています。例えば、イカのテーマであれば、生物学、生理学、地球環境、物理、文学等のヒントを埋め込んでおり、子ども達がそれに気づいて自分で学び始めます。

ROCKETがアクティビティ中心の学びを実施するのは、読み書き等の認知的な理由で、教科書から学ぶのが難しい子ども達もいるという、もう1つの背景があります。

ROCKETを運営してきて、応募者のうち1/3くらいの割合で、読み書きに何らかの困難さを抱える子どもがいたとのこと。
現在の日本の教育のインプット・アウトプットを考えた時に、インプットは読むことであり、アウトプットは書くことです。この前提だと、読み書きが苦手な子は、必然的に学校での学習に困難が生じやすいということになります。

読み書きの困難さの具体例は、「書くのが遅い」、「頭の回転に書く速さがついてこない」、「書きたいことを整理をするのが苦手」など、背景は複雑です。読み書き困難という事象は、親や先生でも「普通に会話をしていると理解度が高いのに、学校の成績が伸びない・・・」という形で、なかなか気づくことが出来ない微妙な問題で、学校での勉強についていけなくなった場合、不登校につながるケースもあります。

上記のように、ユニークさや凸凹を支援していく上では、読み書きと向き合うことは切っても切り離せず、ROCKETでは東大先端研・中邑研究室で実施されている読み書き研究の知見を活用しながら、子ども達を支援しています。

上記の読み書きはあくまで一例ですが、ROCKETが目指すのは、子ども達の才能の凸凹に光が当たること。

「数学は世界レベルでも全く英語が出来ない」という子は、現状の受験システムでは思うように輝けませんが、社会が子どもの凸凹を受け止め、学びのシステムに弾力性が出てくれば、日本全体がイノベーティブで多様な人を活用出来るようになる。

ROCKETは、大きなゴールを目指して、日々子ども達に向き合っています。

対話セッション:第3の場が凸凹を育てる?

子ども達の探究心から学びがはじまるという観点で、共通点のあるROCKETとa.school。
沢渡さんのお話から探究を深めるべく、岩田との対談セッションを実施しました。
この記事では、対談や会場の皆様との対話の様子を、一部ダイジェストで紹介致します。

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岩田:
お話を聴いていて、とても質問したいことが沢山出て来てしまいました(笑) どんな異才がいるのか、実際のお話を是非、凸凹の両面から教えて頂けますか?

沢渡さん:
興味関心の偏りが、いい意味であります。 例えば、一期生で、ボウリングのピンセッターに並々ならぬ興味がある子がいます。

(会場、爆笑)

学校の勉強に直結するものではないのですが、ピンセッターについてここまで詳しい中高生は世界的にも珍しいのではと思っています。1つの事象に飽くなき探究心を持っているタイプですね。 もう1つは、何にでも興味を持って自分ごととして捉えて、「先生を質問責めにする」タイプですね。

岩田:
私は、どちらかというと後者のタイプなので、非常によくわかります(笑)

沢渡さん:
そういう子も、居場所を見失ってしまうパターンがある。大きく分けると、1つのことにぐっと入っていくタイプ。造形が好きな子や、1日何百枚も絵を描いている子とか。

ピンセッターの彼は、ボウリング場でアルバイトをしたいと思っているようです。接客業として、お客さんとの接点を求められた時にどれだけ頑張れるか。ピンセッターの調整をしている人に弟子入りして、将来日本一の整備士になったとしたらすごい。そういうことを示せれば、もっと生きやすくなる子ども達が増えると思っています。

岩田:
a.schoolにも、武将の死に際が大好きな子がいます。とにかく色んな武将の死に際、辞世の句なんかに、とてもとても詳しくて。笑

(会場、爆笑)

沢渡さん:
いやあ、異才ですね。そういう子は、学校ではあまり理解しあえる友達が出来づらかったりもすると思います。でも、友達の輪を日本中に広げたら、2~3人はいるかも知れない。そういう意味で、僕たちは、その2~3人が出会える場になれたらとも思っている。ROCKETの中で、興味が似ているメンバーでグループを組んで行う活動があるのですが「こんなに話が合う人と初めて出会いました」という声も聞こえてきます。

岩田:
わかってくれる友達がいるというだけで、安心につながりますよね。 「それ、おもしろいね」という反応をしてくれる子がいるというだけで、その子にとってはとても助けになる。その子は、武将の格好をしてワークショップに来るのですが、普段学校では白い目で見られたとしても、自分のことをわかってもらえるコミュニティがある。

そういう意味では、ROCKETでは、異才達が集まった時はどういう雰囲気ですか?

沢渡さん:
カオスですね(笑) ゲストとして堀江貴文さんが来てくださった時に、目の前を堂々と通り過ぎたり、「おじさん何やってるの?」と尋ねてみたり(笑)

岩田:
ROCKETでは、2年活動を重ねていたということですが、子ども達に変化はありましたか?

沢渡さん:
変化は一切期待していなくて、彼らが潰されていないということが重要。2年やって、潰されていない。変化ともとれるようなことが出てきていて、ROCKETは学校に行っていない子達が平日に参加しているプログラムですが、不思議なことに、1/3くらいの子が、学校に戻り始めている。

ひとつには、友達を無理して学校で作らなくてよくなった、安心できる友達がいる、居場所にちゃんとなっている。学校で失敗しても戻られる。関連づける力と言っているのですが、宇宙を考えようとするとなると、物理の知識を知らないといけない、英語の論文を読まないといけない、好きなことをコアな探究心にして、学びを広げていく。そういう子達が、「この授業は自分のやりたいことと関連している!いってみよう!」という風に、学校をいい形で活用しようという動機付けがはたらいているのだと思います。

岩田:
学校と家庭以外のコミュニティに参加していない。多様なつながりをもっていない子が多い。学校で良さを叩かれてしまうと辛いが、地域のおじさんは褒めてくれるとか、「ここだけが全てじゃない、安心できる場所がある」と思えることが重要ですよね。

沢渡さん:
親と学校・塾の先生くらいしか接点がない。子どもの中には、大人と話す方が楽しいという子どももいる。昔は色々教えてくれるおじさんがコミュニティにいたが、それが地域のつながりが希薄になった今では、難しくなっている部分もある。ROCKETはそういうコミュニティの役割を担っているとも思います。

ユニークな子ども、兜を夜中まで作っていたら、親としては心配になりますよね。笑 自分のやりたいことを家でも学校でも否定されると、居場所がなくなる。第3の場所で認めてくれていれば、安心が出来る。自分を認めてくれる場所を人工的につくっていきたいと思っています。

参加者の方から質問: 私の子どももすごくユニークなんです。突き抜けているかはわからないのですが、好きなことに時間をたっぷり使って没頭させてあげたい気持ちと、夜は早く寝かせて、健康な生活をさせてあげたい気持ちで悩んでいます。そんななかで、本当に好きなことの見つけ方とはどういったものでしょうか?

沢渡さん:
本当に好きかどうかはその子にしかわかりません。喉の渇きという表現がありますが、喉が乾いたらすぐに飲み物を与えがちですが、人は、極限まで喉が渇いた時に行動をします。本当の渇きが何なのか、ということを明らかに出来ればいいと思っています。

渇きを大切にして、あえて与えないということで、意図的に放っておけばいいと思うんです。 意図的に放っておく、ということを自己認識していれば、フォローしたり、与えるタイミングも自分で決められます。

岩田:
一点、自分の良さを見つけるという意味では、色んな人に会うと良いと思います。保護者の方が自分で発見出来る良さと、見つけられない良さがあります。 僕自身は考えることがとても好きで、研究したりアイデアを生み出すことが好きです。なので、生徒達の頭の使い方に対して気づくのは得意なのですが、アーティストの方だと指の使い方に着目したり、音の世界で生きている人なら、声のトーンなどで気持ちに気づいたりすることもあります。 色んな人と会ってみる中で、色んな角度からいいところを見つけていくということが出来るのではないかと思います。

沢渡さん:
そうですね。そういう偶然の出会いが生まれる場所として、第3の場所を介在させることが大切かと思います。

次回a.talkは11/12(土)に開催!海外大学に飛び立つ日本の高校生は、どんな道を歩むのか?

次回a.talkは11/12(土)に開催!海外大学に飛び立つ日本の高校生は、どんな道を歩むのか?

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第2回のa.talkは、異才・凸凹をテーマにしたものをお届けしましたが、11/12(土)に実施する第3回a.talkでは、「海外大学に飛び立つ日本の高校生は、どんな道を歩むのか?」をテーマに、NPO法人留学フェローシップ理事・開智日本橋学園英語科教諭、国際推進部の近藤健志さんをお招きします!

日本の高校生が海外大学を目指す時、どんな想いで、どんなチャレンジに向き合うのか、海外大学での学びのリアルについて、会場の皆さんと一緒に探究していければと思っています。 皆さんのご参加、お待ちしております!
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