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  • 2018.10.26

【いきかた探究プロジェクト】わかりやすい人生の物語より、思いつきとおもしろさを優先したい。(山本尚毅さん)

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2018年秋学期にスタートした、いきかた探究プロジェクト」。このプロジェクトでは、あっと驚くユニークで新しい働き方や新しい暮らし方を実践するプロフェッショナルのライフストーリーを、未来の大人たち(小中高生)から今まさにキャリアを模索中の大学生や社会人まで、幅広い年齢層の方々へ紹介します。

彼ら・彼女らの「仕事観」「人生観」をとことん深掘りしながら、「自分はどんな暮らしや仕事、家族や仲間がほしいのだろう?」と内省を繰り返す4ヶ月間を、連載でお届けします!

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某教育企業勤務/読書・学びスペシャリスト

山本 尚毅 氏

1983年石川県根上町出身、北海道大学農学部卒。子供時代は野球を9年間続ける。大学時代はスノーボードとソーシャル・イノベーションの研究に明け暮れる。

サラリーマンを2年半経験の後、途上国の貧困問題をデザインを通じて解決しようと思いたち、独立・起業。2016年9月から心機一転、企業に戻り、学びの仕事に従事する。

2011年より、本の書評や選書を継続中。

世界を変えるデザイン展」という展覧会をご存知ですか? 今でこそ当たり前かもしれませんが、「デザイン」の力で発展途上国に住む人びとが直面する課題を解決するというコンセプトを広く日本に知らしめた展覧会です。

その展覧会を企画・開催していたのが株式会社Granmaというベンチャー企業。山本尚毅さんはその創業メンバーの1人なんです!

その後、色々と迂余曲折を経て、現在は教育関連の組織で新規サービスを生み出す立場にいる山本さん。ベンチャーと大企業の両方で活躍する、稀有な人材です。

また、無類の本好きの山本さんは、マイクロソフト日本法人元社長成毛眞さんが立ち上げた書評サイト『HONZ』のレビュアーでもあります。

そんな色々な道を歩んできた山本さんは、人生、学び、趣味、仕事、をどのように捉えているのでしょうか?山本さんの「いきかた」に焦点を当てて、当日のトーク内容をお伝えします!

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▲山本尚毅さんの人生グラフ

いきかたハイライト①
自分の本能に素直に生きていた学生時代

キーワード

地元石川と野球・自由研究ノート・ロシア旅行

 

【野球との出会い】

(11歳)少年野球

幼いころは病気がちだったという山本さん。体力をつけるために、水泳に通っていたのですが、水泳は好きになれませんでした。その後、成り行きで9歳から少年野球を始めます。野球との出会いが生活を変えていきます

「実は始めから強く野球に興味があったわけではなく、“水泳を辞める口実になる!”と思って始めたのがきっかけです(笑)。たまたま、松井秀喜選手がとなり町に住んでいたり、先輩たちがとてもうまかったので、そういう偶然もあったと思います。本当はサッカーがやりたかったんですが、周りにそういう環境がなかったので。」

【小学校の先生との出会い】

小学校の先生との出会いも、日々を彩るきっかけになりました。なんと、好きなことについて自由にノートに書いてくるという宿題を出す先生がいたそうです!
「それこそまさに探究学習を毎日やっているみたいでした!自分は地理が好きだったので、地図をよく書いていました。あと、当時興味のあったパレスチナ問題について自主的に調べてまとめて。しかも頑張ってノートを書くと先生がで革で作ったわらじみたいなものをくれるんです。それを集めるのが楽しくて楽しくて。」

小学生が自主的にパレスチナ問題についてまとめるとはびっくりエピソード!ご自身の誕生日がクリスマスであることがきっかけだったようです。その自由帳を見てみたい・・・!

ところが、とっても楽しかった小学生時代から一変し、突然様々なことができなくなった中学生時代。
「走るのも遅くなったし、野球も上手くならなかった。先輩・後輩という部活の上下関係にもなかなか馴染めなかったり、友人と上手くいかなかったり、人間関係も悩みました。」
やはり中学生時代は身も心も大きく変化する時期。同じような思いを味わった方も多いのではないでしょうか。

【初海外旅行でロシアへ】

(13歳)ロシアにて

そんな山本さんが、中学生時代唯一楽しかった思い出と話すのが、ロシア旅行。初めての海外旅行がロシアとは珍しいですよね!なんと地元の自治体がやっていた姉妹都市交流プログラムの一環として、2週間滞在したそうです。
「現地の同世代の仲間と触れ合うことができて、とても楽しかったです。自分のカタコトの英語でも分かり合えた感覚はとても嬉しかったですね。最終日にみんなで泣きながらお別れしたこともいい思い出です。」

多感な時期に、異国で(しかもなかなか行けないロシア!で)友人を作る経験は深く記憶に残りそうですね。

【まさかの強豪高校?!での、野球生活】

(17歳)野球部

田舎だったため、成績で高校を決めた
という山本さん。学校選択に強いこだわりはなかったようです。ところが、なんとなく入った野球部がまさかの強豪校で、自身が1年生の時の先輩たちが甲子園に出場したんです。その様子を観て「自分が入った野球部はすごいチームなんだ…!」と感動し、気持ちを入れ替え、それから3年間野球と向き合い努力しました。

野球に燃えた日々、一方勉強はというと…
「授業中は漫画ばかり読んでいて全然聞いていませんでした…(笑)。そのせいで高2の秋の定期テストで悲惨な成績を叩き出してしまい…。そこから焦って勉強をし始めました。」
授業をしっかり聞こうと改心したのはいいものの、今まで怠ってきたからか、内容が全然わからなかったそうです。
「そこから独学で勉強を始めました。友達とジュースを賭けて英単語覚えるとか、いろんな工夫をしてモチベーションをあげました。」

いきかたハイライト②
ミッションに忠実に、仕事に打ち込んだGranma時代。

キーワード

おばあちゃんの存在・大学での挫折・インターンシップの経験


【理想と現実の違いにショック…】

その後、北海道大学の農学部に進学した山本さん。両親が高卒だったこともあり、昔から大学進学は身近に感じたことがなかったようです。
大学進学や農学部を選んだのは、祖母の影響です。よく祖母から戦時中にご飯が食べられなかった話をよく聞いていたんです。また、テレビなどでよく観る、飢餓に苦しむ子どもたちの問題が気になっていました。食べ物をたくさん作れたら貧困は解決できると思ったので、バイオテクノロジーの研究を目指しました。」

(06歳)ばあちゃんと

おばあちゃんっ子だったと語る山本さんは、バイオテクノロジーを研究して貧困を解決するために、農学部へ進学。しかし、大学に行って何をすればいいのかわからなくなってしまったそうです。
「希望して入った農学部で挫折を味わいました。飢餓の問題を解決するために入学したのに、『飢餓は食べ物を作っても解決しない。政治や経済の問題で、自然科学ではなく社会科学の分野の話なんだ』と言われ、ショックを受けました。」

その後、農業経済学科に進みましたが、当時は学問に対して強いモチベーションがあったわけではないそうです。今では本をたくさん読み博識なイメージの山本さんなので、意外な過去ですね。

学問に身が入らないなか、友人がスノーボードをやっていたことがきっかけで、週6日スノーボードに通うくらいハマったそうです。冬はスノーボード、夏は海外旅行(なんと30カ国!)、春秋は旅行資金を貯める生活で、大学生活はあっという間に過ぎていきました。

【東京でのインターンシップに感化】

(22歳)就活

その後、就活の時期に入った山本さん。ゼミの仲間に誘われて参加した東京のある企業のインターンシップで働くことに対するイメージが変わります
「東京の人たちは“働くこと”を積極的に意識して生活している人たちが多かった。自分はずっと田舎にいたので、カルチャーショックだった。『働くことは実は楽しいことなのではないか?』と刺激をもらいました。」
インターンシップで出会った人たちは、今でも大切な仲間だそうです。

東京でのインターンシップに刺激をうけた山本さんは、東京で働きたいと思い就活を始めます。準備をまったくしていなかった山本さんは、面接で何も考えず「スキー場が作りたいです!」と言って、ほとんど落ちてしまったと言います。
「何も考えずにただ自分の漠然とした夢を語っているだけでした。そりゃ落ちますよね(笑)。東京に行けて、転勤がない会社という条件で受けていたのですが、たまたまある会社が拾ってくれました。」

【好奇心に正直!やりたかったことを有言実行!】

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就活が終わったあとにやっていたインターンで、社会問題をビジネスとして考える研修を受けた山本さん。それがきっかけで、“自分が昔投げ出した飢餓の問題をビジネスで解決できるかもしれない!”と考えるようになりました。

「起業をするつもりはなかったのですが、飢餓問題をビジネスで解決することはやりたくて仕方なかったんです。同じような志を持っていそうな人たちが集まる場に積極的に出かけました。そのうちに仲間に出会い、一緒に起業しようと誘われました。いつもと同じようにそのチャレンジに乗っかってみることにしました。」

特別主体的なわけではなく、いつも周りに乗っかって人生を進めてきたという山本さんですが、乗っかる行動力も思い切りがあってすごい!こうして「Granma」を立ち上げます。

【道具は世界を変える?!「世界を変えるデザイン展」】

起業したばかりの頃、飢餓や貧富の差を解決したいとビジネス化の道を探るため、フィリピンのスモーキーマウンテンを訪れますが、なかなかすぐには成果を出せなかったという山本さん。しかし、だからこそ気付いたことがあったそうです。

とにかくスモーキーマウンテンをじっと観察し続けていたら、道具の存在意義に気付いたんです。例えば、鉄などの高価なゴミは山の下に沈んでしまうのですが、それを器用に掘り当てている子どもを見て、火挟などの道具があれば状況が変わるのではないかと思い立ったんです。こうして、世界の困りごとを解決する道具をデザインする、というコンセプトにたどり着きました。」

(26歳)デザイン展

ものづくりに携わる人々に新しいコンセプトを届けつつ、同じ志を持つ仲間を集めるために企画したのが、冒頭でご紹介したデザイン展。展示会は一躍有名になり、多い時では1ヶ月で2万人が訪れてくれたそうです。
それから事業が軌道に乗り、いろんな企業のデザイナーやエンジニアの方々と仕事をし「道具」の開発に携わりました。

いきかたハイライト③
自分・仕事・家族のバランスを重視

キーワード

Honzへの参加・家族と人生


【“家族”と生きるということ】

(34歳)娘と

その後、山本さんはGrammaを辞めます。経営や人間関係など様々な困難に向き合いながらも、話し合いの上辞めることを決意したそうです。そのタイミングで、奥様が病気になるなど、浮き沈みの激しい日々を送りました。

「その後、妻の病気も治ってきたので、仕事を始めることにしました。それこそスノーボード関係とか(笑)、コンサルティングも考えたのですが、Grammaで世界中で仕事をしていた経験から、教育の存在が気になっていたので、教育業界への転職を決めました。」

最近は、お子さんと過ごす日々がとても大切だそうです。なんと、育休をとるほどの育メンである山本さん!
育休中はとにかく楽しかった!子どもと一緒にいろんなところに行って、自分自身も毎日自由研究をしているようでした。」
家族への愛を柔らかな笑顔で語っていました。

【数少ない能動的な行動。Honzへの参加。】

現在は、Honzのレビュアーとしての活躍している山本さん。昔から本を読むのが好きだったそうですが、本への強い関心は、社会人1年目のあることがきっかけだったそうです。
「社会人になって自分がいかにビジネスマナーを知らないかということを痛感したんです。そこで、図書館にあるビジネス関連の本を片っ端から読んでいた時期がありました。本に対しても体育会系のアプローチだったんです。笑そこから“1年間365冊読む!”という目標を立ててひたすら読みました。」
その後、たまたま読んだブログを通じ、Honz代表の成毛眞さんに出会います。

山本さんのいきかたとは?
自分が信じる幸せを大切にすること

【今後の目標】

今後のやりたいことを聞かれて、“本屋が作りたい”と目を輝かせてお話する山本さん。
「近所の公園で臨時本屋屋台を開きたいです。小学校と高校が近くにあるので。仕事の合間にやりたいですね。」

あとは、とても気になっている“時間”について探究したいそうです。
「やっぱり自分は偶然や運に恵まれてきたと思うので、そういう意味でも“時間”の存在が気になっています。タイミングを科学したいんです!今は、実際にいろんな大学の先生にインタビューをして時間をテーマにした雑誌を作っています!」
人生そのものを探究するような好奇心と行動力。前向きなオーラに溢れていました。

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【人生の中で大切にしていること/きたこと】

最後に、人生のタイミングについて、そして物語ることと幸せについて語ってくれました。

「自分はそこまで能動的な人間ではありません。周りの人たちの行動や環境に乗っかって生きてきました。そういう意味で人生に脈絡がありません。ですが、いつもタイミングがいい人生でした。きたものを素直に受け止めたり、自分がただ面白いと思う人を信じてきたからだと思います。」

「20代は人生にはストーリーがあることが良いことで理想的なことだと思ってきました。ですが、最近は“本当にそうなのか?”と考えるようになってきました。人生の物語としての統一性を重視するあまり、過去に引っ張られてしまうのはよくないのではないかと思います。人に語ることや伝わりやすさだけで人生の幸せを考えるのではなく、自分が信じる基準やその時々の思いつきを大切にしていきたいと思っています。

“だから今回の話も脈絡がなかったかもしれないけど”と素敵な笑顔で苦笑いする山本さん。等身大で飾り気のない最後のメッセージに、中高生は真剣に耳を傾けながら柔らかい表情を見せていました。

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《ライターいづっちゃんの取材後記》
プロフィール写真がキリッとした表情だったので、どんな方なんだろうとドキドキしていたのですが、とっても物腰柔らかで笑顔が絶えない方でした。
「自分は能動的な人間ではない。自分で何か選んできたわけではない。」と語る姿が印象的でした。人生の選択や流れを見ているととても主体的な方に思えるからです…!ですが、実際は“周りの人やタイミングに恵まれただけ”と謙虚に言葉にできる山本さん。だからこそ、運が集まってくるのだろうなと思いました。また、最後の物語ることの意味について語るお姿も、知的で想像力に満ちた素敵な人柄が溢れていました。

▼「いきかた探究プログラム」についてはこちら

  1. vol.1 近藤玄大さん
  2. vol.2 Mozuさん

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