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イベントレポート

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  • 2017.05.22

【開催レポート】a.talk vol.3 海外大学に飛び立つ日本の高校生は、どんな道を歩むのか?〜NPO法人留学フェローシップの現場から〜

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こんにちは。
ブログでのご報告が遅くなってしまいましたが、昨年11/12(土)、第3回a.talkを実施しました!

a.talkとは?

a.talk(エイトーク)とは、ユニークで最先端の教育経験を持つゲストをお招きし、これからの学びのあり方や、子ども達の進む道・暮らす社会について、オトナ同士で対話し、カジュアルに探究を深めていく場です。

第3回のゲストは、NPO法人留学フェローシップ理事・開智日本橋学園英語科教諭/国際推進部の近藤健志さん。

日本の高校生の海外大学進学をサポートするNPO法人留学フェローシップと、国際バカロレアのカリキュラムの導入を進める開智日本橋学園という二つの教育現場で活躍する近藤さんから、「海外大学での学びのリアル」を中心にお話を伺いました。



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「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」を実現したい

開智日本橋学園では英語教員として、子ども中心の学びを作っている近藤さん。
近藤さんはご自身の一番の関心事について、「英語という語学力だけでなく、自分の頭で考え、自ら成長していくマインドを磨く学びの場をつくりたい。現在は、英語科と社会科の教員として活動していて、中学校の英語を主に担当していますが、生徒たちの英語力が育ったら、社会科を英語で教えたいですね」とお話下さいました。

自分の頭で考えて、知識を実際に使うことを通して学ぶ近藤さんの授業は、まさに「プロジェクト型学習(Project Based Learning)」。

ご自身が教鞭をとる授業では、「学校のウェブサイトを英語で作る」というプロジェクトに、中学校1年生が取り組んでいます。

このプロジェクトは、「国際バカロレアのカリキュラムを取り入れて海外との交流を増やそうとする自分たちの学校に、英語のウェブサイトがないのはどうしてなんだろう?」という生徒の皆さんが持った純粋な「問い」から始まっています。

ここでは、教科書は「ただ字面を暗記するもの」ではなく、「(ウェブサイト作りの過程で)どう表現したらいいかわからないことを調べて解決するためのツール」。授業に参加している生徒の皆さんがそれぞれ分担を決め、伝えるべきメッセージを自分たちで定義し、わからない表現を教科書やインターネット、その他教材を活用して自ら調べ、ウェブサイトを形にしていきます。

こうした探究型学習の実践を通して近藤さんは、「生徒が知らない知識を与える教員」という枠を超え、「学びを導くガイド役であり、ファシリテーター」という、新しい教員のあり方を現場で追求・実践されています。

「主体的に生きる力を育む旅」としての、海外留学。

学校現場で「自分で考える力」を伸ばす教育活動に取り組む近藤さんは一方で、海外大学への進学・留学を支援する「NPO法人留学フェローシップ」の理事としての顔をお持ちです。

前任校である全寮制中高一貫校では国際センター長として、多くの生徒を海外、特にアメリカの大学へと送り出してきました。そんなご自身の「カレッジ・カウンセラー」としての経験をいかし、全国各地を飛び回り、海外大学進学に関心のある若者や先生をサポートしています。
*カレッジ・カウンセラー:海外大学進学に必要な必要書類の作成、大学選び、資金面の検討や、留学の前提となる動機形成や棚卸しを、個別面談などを通して支援するプロフェッショナルのこと。

子ども達が主体的に生き、主体的に学んでいく。この目標にアプローチする手段として、海外大学への進学を支援しています。留学フェローシップという団体では、日本から海外大学に進学した留学生と、留学に興味のある若者・先生のコミュニティをつくっています。具体的には、キャラバン隊のように全国を回り、海外大学での学びについて伝える活動を、首都圏のみならず、福島、茨城、山口など地方も含め、全国でやっています。海外大学進学という選択肢を伝えることに加えて、5日間の集中合宿をして、実際の海外大学進学準備も支援します。

海外大学には、世界から多様な文化的背景を持った学生が集まります。
その為、日本の大学で学ぶ場合と比べて、自分の考えを明快に説明出来るようになる必要があります。自分の考えを表現して伝えるには、そもそも自分が言いたいことをわかっている必要があります。だから、自分と向き合って考えを深める。そして、表現を磨く。その繰り返しこそが、自分の人生を主体的に生きるということの原点になると思っています。

そう語る近藤さんとの対話を通して明らかになってきたのは、海外大学に進学し、異国の地で学ぶことは、「答えやレールのない社会を生きる」経験だということです。

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海外大学では、「自分の意見を相手に伝えること」が要求される場面が非常に多くあります。世界各国から集まった留学生と互角にディスカッションを行うには、豊富な知識と「自分の頭で考える」(物事の本質を探究して、自分なりの仮説を構築する)力が不可欠です。授業への主体的な参加はもちろん、プライベートで友達をつくったり、コミュニティで仲間に溶け込んだりするにも、このような姿勢が必要となります。

加えて海外大学の入学審査は、TOEFL・SATなどの語学試験や統一試験に加えて、「自分という人間のストーリーや、将来の夢、追い求めていきたい問い」など、人間としての全てをぶつけて書くエッセイがあります。「数学が天才的に出来るオタク気質のエンジニア学生」「微分・積分はわからないけど、音楽を演奏させたら天下一品の学生」など、多様でユニークな強みを持つ学生が世界中から集まるのは、このような「人間力」を知識力と同じかそれ以上に重視しているからです。

「留学フェローシップで一緒に活動している、海外大学に進学したメンバーともよく話をします。多くの場合、初年度は本当に大変そうにしています。とにかく友達が出来ない、辛い、異文化を理解するのが難しい。授業でのディスカッションについていく為には膨大な勉強をしないといけず、日本に帰りたいとこぼす学生もちらほらいます。

そして、長期休暇で日本に帰ってきたら、日本の大学生活が羨ましくなり、本当にこれでよかったのかと自問自答する。

でも、だいたい2、3年目を過ぎたあたりで、「快適な場所(comfort zone)を抜けたからこそ手にする成長」を実感するようです。

対話セッション:偏差値を伸ばす?それとも好奇心を伸ばす?

「自分と向き合い、好き・得意を探究して表現する」という観点で、海外大学を目指す旅とa.schoolの探究型学習は似ているかも?

近藤さんのお話を伺った後は、a.school代表の岩田と参加者の皆さんを交え、対話セッションを実施しました。

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岩田:
貴重なお話、ありがとうございました。近藤さんの取り組み、a.schoolとの共通点も多いと感じました。特に、「主体的に生きる旅としての海外留学」という考え方にピンときました。

私が高校の時は、留学を志す同級生は周りにほとんどおらず、私自身も大学に入ってようやく、海外に行くという選択肢があるということがわかりました。留学を検討する高校生は、増えていると感じますか?また、留学という選択肢を広げていくために、どんな工夫をされていますか?

近藤さん:
4年制の大学という意味では、感覚値としては、横ばいか微増ですね。
私たちのキャンプに来る子も、毎年50人くらいでしょうか。

広げていく工夫という観点では、海外大学という選択肢が一般的でないが故の壁の高さを感じています。模試の成績が一番いい子は医学部に行き、その次に東京大学を目指しましょう、という傾向が、地方も含めてかなり強いですね。イベントや説明会を一度やったところですぐには変わらないので、継続的に行っています。

岩田:
a.schoolでも、海外からのゲストをお招きしてワークショップをやって、生徒が英語や海外に興味を持っても、2〜3週間も経てばその刺激を忘れてしまうことが多いです。

近藤さん:
コミュニティや価値観の問題ですよね。住んでいる地域、保護者の方、友達など、周りの人々の 「偏差値中心」な価値観が強ければ強いほど、刺激を与えても元通りになってしまう。でも一方で、今はインターネットを介して物理的な距離に影響されずに、志を共有出来る仲間や大人と、お互いに支え合えるコミュニティを築くこともできます。

また、先生の支援も必要だと思います。都内のいくつかの学校は、学校を挙げて海外大学進学に関心ある高校生を支援する体制を整えつつありますが、まだまだ一般的ではありません。

海外有力大学の合格をひとつ増やすと、東大等トップ校の合格がひとつ減る。国内有力大学への合格実績が欲しい学校が大多数という中で、海外大学進学をサポートする先生が(学校内で)孤立してしまうという問題もあると思います。

先生も生徒も、まだ一般的ではない海外大学進学を目指すには同調圧力と向き合う必要があるのです。

参加者の方:
留学フェローシップのキャンプに来る高校生が、「キャンプに参加する」というアクションを起こしたきっかけは何だったんでしょうか?

近藤さん:
何か現状に満たされない想いや危機感があったり、ちょっとでも海外に行ったことがあったり、ですかね。今の自分をどうにかしないといけないという気持ちがある子、ハングリー精神が強い子ほど、関心を持ってくれる傾向がありますね。

参加者の方:
私も子育てをしていますが、偏差値や学力を伸ばす方向に舵を切るのか、探究型学習やオルタナティブ教育のように、好奇心を追求する方向に舵を切るのか、非常に迷っています。個人的には、中学受験などにとらわれずに思いっきり好奇心を伸ばす方向に舵を切りたいのですが、日本では大学進学が社会に出る上で重要なので、その先の進路がどうなるんだろう、という不安がある。

近藤さん:
ものすごく本質的な問いですね。皆さんで議論できればと思います。探究学習の方へ向かう場合、適切な大人にきめ細かくサポートしてもらえる少人数制の環境を作る必要があると思います。

なお、探究力が高い子は、受験自体をひとつの「プロジェクト」として捉えて、自律的に(試行錯誤のサイクルを)回していけるようになる。そのレベルまで到達することを、学び舎と家庭が合意出来るなら、探究に振ってもいいと個人的には思っています。

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海外大学進学支援を通して、「答えのない社会を生きる力」を育む近藤さんをお招きしてのa.talk、いかがでしたでしょうか。

a.schoolでは、今後も、探究型学習の場を小中高生に提供するとともに、大人を対象にした情報発信やイベントを開催していきます。
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